私は7階建てマンションの2階に住んでいます。
毎朝、ベランダに置いてある植木に水をあげたり、声をかけたりしています。
大阪市内なのでベランダからの見晴らしは、けっしていいわけではなく、畑や駐車場、近隣のマンションぐらいしか見えません。
そんななかに一軒家があります。
いわゆる庭付きの一軒家で、おそらく昔は農家さんであったと思われ、庭には立派な蔵も残っています。
そのお家の庭にキレイな鯉のぼりが泳いでいました。
すぐそばの蔵と比べると高さは6、7㍍ぐらいはあるでしょうか。
家の周囲はブロック塀のため、近くに寄ってしまうと全体が見えにくいですが、マンションの2階あたりの高さならよく見えます。
男の子の成長を祝って飾られる鯉のぼりには、『健やかな成長と立身出世を願う意味』が込められています。
大空を悠々と泳ぐ鯉のぼりのように、大きく元気に育ってほしいという願いが込められているのでしょう。
目次
鯉のぼり登竜門
鯉のぼりは中国の故事である『登竜門』が由来といわれています。
その昔、中国の山奥に登りきると竜になれるという大きく流れの速い『竜門』という滝がありました。
たくさんの魚が竜になることを目指し、急流に逆らいこの滝を登ろうとしましたが、登りきれる魚はいませんでした。
そんな中、見事に登りきった魚が鯉だったのです。
鯉は竜門を登りきると、竜になって天へと昇っていきました。
普通の魚だった鯉が皇帝の象徴とも考えられている竜になるという話は、立身出世を想像させることから縁起物となり、鯉のぼりの誕生へとつながったといわれています。
鯉のぼり五行説
日本では江戸時代に登場した鯉のぼりですが、当時はまだ、長男のための黒い真鯉のみでした。
赤い緋鯉(ひごい)が追加されたのは明治から昭和にかけてです。
そして現在のようなカラフルな鯉のぼりになったのは、戦後のことです。
1964年に開催された東京オリンピックの際、五輪マークにヒントを得た職人さんが、さまざまな色の鯉のぼりを制作したことがきっかけです。
ちなみに上から真鯉、緋鯉と続きますが、真鯉のさらに上にあるカラフルなものは「吹き流し」と言われ、魔除けの意味があります。
青、赤、黄、白、黒の五色あり、これは「五行説」にちなんだものです。
五行説では、この世のすべてが木、火、土、金、水からできており、それぞれの色と影響し合っているといわれています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020東京オリンピックは延期になりました。
大阪の夏の風物詩である天神祭も中止され、各地の催し物も相次いで中止になっています。
まほろば古の里歴史公園
しかしそんななか、山形県にある「まほろば古(いにしえ)の里歴史公園」では、毎年恒例の鯉のぼりが約70匹泳いでいます。
現在見頃の桜と菜の花の上を、悠々と泳いでいる写真は見ているだけでも気持ちがいいものです。
歴史公園管理組合の職員の方の話によると、最初は中止も検討されたそうですが、「元気に泳ぐ鯉のぼりを見てみんなで苦難を乗り越えたい」と開催に踏み切ったそうです。
現在わたし達は、"得体のしれないモノと闘っている人類を描いた映画"のような現実を見せつけられていますが、「明けない夜はない」といいます。
今は下ばかりを向くような話題やニュースが目立ちますが、目線を上げて鯉のぼりのように悠々としていたいものです。
鯉のぼりを見ていて「勇気」というものを感じました。