映画「82年生まれキム・ジヨン」を観ました。
私は原作も読んでから映画館に足を運んだのですが、映画を見ながら「もう一つのストーリー」を思い出していたのです。
それは「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」。
というよりも「ビリギャル!」といったほうが伝わりやすいかもしれませんね。
「ビリギャル」のモデルになった小林さやかさんの講演会を、つい先日拝見し映画では表現されていなかった御家族のお話をたくさん聞きました。
驚くことに「82年生まれキム・ジヨン」の家族構成と「ビリギャル」の家族構成がとてもよく似ているのです。
それ以外にも年下の弟が長男として優遇されていたことや、本人の心の支えになっているのは母親の大きな愛情であったことなどが挙げられます。
それではこの韓国と日本の二つのストーリーを比べてみましょう。
目次
【82年生まれキム・ジヨン】
主人公のキム・ジヨン(チョ・ユミ)は子供時代から女性としての生きづらさを感じるようになる学生時代や、猛勉強の末やっとの想いで就職するも、社会人として数々の壁を感じながら生きていました。
そして結婚し出産。
産後うつからの解離性障害のような症状が出始めます。
過去の記憶と現実とが交錯し、ジヨンの苦悩や葛藤を描いた映画なんです。
【儒教の国】
主人公キム・ジヨンの家族構成は父、母、姉、ジヨン、弟の五人家族。
韓国は儒教の国で「男尊女卑」の色が濃く、儒教の経典にある
「女必従夫」(嫁は必ず夫に従うもの)
「三従之道」(幼いうちは父に、嫁したら夫に、老いれば息子に従え)
「四徳」(女性が備えるべき四つの美徳)
「七去之悪」(夫から離縁されても仕方がない嫁の七例)
などは女性が自分の役割を知り、分をわきまえるように説いたもの。
・知りたくなる韓国 著者 新城道彦他 有斐閣より抜粋
映画では描かれていませんが父親は弟を長男としてとても可愛がり、どんなことでも弟のほうが姉二人よりも優遇されていました。
広い部屋を弟一人にあたえ、姉二人にはひとつの狭い部屋をあたえていました。
【ジヨンの母】
実は、原作では姉とジヨンの次に身ごもった子を堕胎しています。
ジヨンの母はある晩、次に生まれてくる子が、また女の子だったらどうしよう?と夫に尋ねます。
すると「縁起でもないことを言うな!」と夫に言われてしまいます。
その晩、彼女は一晩じゅう声を殺して泣いていました。
それほど男性を生むことが必然とされている社会なのです。
【ジヨン高校生】
高校生になったジヨンは自宅から遠い塾にバスで通っていました。
そのバスに乗車しての帰り、彼女は車内で痴漢にあってしまします。
異変に気づいた女性客が携帯を貸してくれ、ジヨンは父親に「SOS」のメールを発信し難を逃れます。
しかし父親からは「遠くの塾に通っているからこんなことになるのだ、スカートも短すぎるのではないのか?」と、被害者のジョンに対して責めます。
ジョンは悪くないはずなのに、女性であるということが罪であるかのように感じてしまうのです。
【ジヨン社会人】
就職してからも、同期の男性社員は新しいプロジェクトのメンバーに選ばれたりどんどん出世したり、ジヨンは女性であるがゆえにこのような仕打ちをされているのかと自分を責めてしまうのです。
ジヨンの病気の事実を知った母は、そうなってしまったのは自分のせいだと母も自分自身を責めてしまいます。
ジヨンにはこの母親が、つねに見守ってくれているのです。
【ビリギャル】
それでは次に「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」。
ですが、映画の話ではなく小林さやかさんのご家族のお話です。
家族構成は父と母、小林さやかさん、二つ下に弟、六つ下に妹の五人家族。
姉妹に男の子が一人ってキム・ジヨンの家族構成と同じですね。
【弟くん】
プロ野球選手になりたかった父親は、この一人息子を自分の代わりにプロ野球選手にするのだと夢を託してしまうのです。
小林さやかさんのお話では、姉妹二人はそっちのけで、弟一人にグローブを与えバットを購入し毎日毎日、練習に励んでいたそうです。
「俺の言ったとおりにしていれば、お前はプロ野球選手になれるんだ!」このような調子だったそうです。
男の子を優遇して育てているジヨンの父親の姿勢に似ていませんか?
しかしこの弟くんはある日を境に野球を離れる決意をします。
そして素行の悪い連中とつきあうよになっていくのです。
【坪田先生との出会い】
一方の小林さやかさんは、小学校から中学にあがるときに中学受験をします。
そこは私立大学附属の中学校だったので、受験のために小学校六年生の数ヶ月間必死に勉強し合格するのですが、あとは勉強しなくても大学まで行けると思い、な~んにもせずにダラダラと日々をおくっていました。
そして気がつけば学年でビリ。
それでも彼女の母は、さやかさんを叱りつけることもなく常に彼女のことを肯定してくれていたのです。
そしてその母親が弟くんを近所にある塾に通わせるため、面談の予約をします。
しかし弟くんが行かずに姉のさやかさんがピンチヒッターとして面談に向かいました。
そして彼女は自分の運命を変える人と出会い、あの映画のストーリーが出来上がったのです。
その面談を終えて帰宅した彼女は母親に「わたし、慶応大学行くから!」と宣言します。
母は「良かったね!さやかちゃんワクワクすること見つけたんだねぇ!ホントに良かったね!」
と完全に肯定してくれます。
周囲の人々は、さんざん彼女のことを馬鹿にしますが現実はみなさんご存知のとおりです。
【まとめ】
「82年生まれキム・ジヨン」
「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」
共通点
・家族構成がとてもよく似ている
・男の子がいつも優遇され女性は二の次
・母親の寛大な愛情
「ビリギャル」をご覧になっていない方も一度観てみるのもいいでしょう。
小林さやかさんの講演会では映画では表現されていなかった家族の重たい?話をたくさんしてくれるのですが、彼女の軽い口調とコミカルな言い回しでとっても聞きやすいんです。
それに聞き手側に刺さるようなこともおっしゃいますので、なかには号泣される方もいます。
もし機会があれば一度小林さやかさんの講演会をご覧になってみてくださいね。