質問
サルコペニア、フレイルといった言葉を耳にしました。
どういったものなのでしょうか?
このような疑問にお答えします。
目次
【フレイルとは】
フレイルとは加齢に伴う心身の活力が低下し複数の慢性疾患などの影響から生活機能が障害され、健康障害を招く状態のこと。
フレイルはよく、健康な状態と介護状態の中間と言われています。
フレイルは筋力の低下によって転倒しやすくなるなどの身体的な問題だけでなく、認知機能障害やうつ病などの精神的・心理的な問題および経済的問題といった社会的な問題までも含まれるのです。
心身の活力の低下=フレイル
「フレイル」という言葉は2014年に日本老年医学会が「虚弱」を意味する「frailty」から「フレイル」と名付けられました。
日本でも75歳を超えるとすごく増えていて、全国で約350万人以上いると言われています。
【フレイルの評価基準】
通常、健康な状態からいきなり要介護状態に移るということはありません。
筋力の衰えによって筋肉量が減少したり、認知機能や精神活動の低下という段階を徐々に経ると考えられています。
早い時期に適切に対応していれば、自立した生活をすることができ要介護状態になることを防ぐことができます。
本人だけでなく周囲も早く気づき、生活習慣を見直すことによって重症化をくい止めましょう。
現在、フレイルの定義については、いろいろと議論されている段階なので、統一された評価基準はありませんが、下記の「フレイルの評価基準」が一般的に使用されているようです。
<フレイルの評価基準>
(1)体重減少(意図しない年間4.5kg以上または5%以上の体重減少) (2)疲労感がある(何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる) (3)歩行速度の低下 (4)握力の低下 (5)身体活動量の低下 上記のうち3項目が当てはまればフレイルとし、1または2項目だけの場合にはフレイル前段階とされる 。 |
【サルコペニアとは】
サルコペニアとは、加齢や生活習慣などの影響によって筋肉量の減少や握力、歩行速度が低下した状態となり、ふらつき・転倒・骨折しやすくなるなどの身体機能に影響が見られる状態のこと。
サルコペニアの最も大きな要因は加齢で、65歳以上の高齢者に多いです。
高齢者の場合、運動量の低下にともない食欲も低下し、栄養不足の状態となり筋肉量が減るといった悪循環に陥ります。
筋肉量・筋力の減少で身体機能低下=サルコペニア
サルコペニアはフレイルの大きな要因のひとつなので転倒や骨折の恐れ、日常生活の支障、生活習慣病などのいろいろな病気にかかりやすくなることで、フレイルが進行して要介護状態につながる可能性が高くなってしまいます。
サルコペニアとは、ギリシャ語の「サルコ(筋肉)」と「ペニア(減少)」から組み合わされた造語です。
【サルコペニアの診断基準】
サルコペニアの診断基準は「筋力(握力)」「身体機能(歩行)」「筋肉量」を測定して行われます。
65歳以上の高齢者において筋肉量の減少を必須とし、筋力(握力)の低下もしくは身体機能(歩行速度)の低下のどちらかがみられる場合にサルコペニアと診断される。
<サルコペニアの診断・65歳以上の高齢者が対象>
①筋力(握力)の検査
基準:男性26kg未満、女性18kg未満
ひとつの目安として、日頃、ペットボトルのキャップが開けにくくなった人は握力が低下している可能性があります。
②身体機能(歩行)の測定
基準:0.8m/秒以下
横断歩道の青信号で渡りきれるかが目安です。
上記の①、②どちらも当てはまらなければサルコペニアではありません。
どちらか一つ、あるいは両方当てはまる方は③の筋肉量の測定を行います。
③筋肉量の測定
基準:BIA法 男性7.0kg/㎡未満、女性5.7kg/㎡未満
基準:DXA法 男性7.0kg/㎡未満、女性5.4kg/㎡未満
身体に微弱な電流を流す主体電気インピーダンス(BIA)法や、2種類のX線を使用する二重エネルギーX線吸収(DXA)法などが使われます。
基準以下でサルコペニアと診断されます。
【まとめ】
心身の活力の低下=フレイル
筋肉量・筋力の減少で身体機能低下=サルコペニア
フレイルの概念としまして、
身体的フレイル(サルコペニア・ロコモティブシンドローム)
精神的フレイル(認知機能障害・うつ病など)
社会的フレイル(外出減少・閉じこもり・独居・経済的困難)
があります。
このうちの身体的機能の衰えがサルコペニアで、フレイルは全体を包括しているのです。
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