「どうも若い頃のようにはカラダが動かん・・・」なんて思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
じつは筋肉量というものは20~30歳ぐらいが最大になって、60歳ぐらいまでは徐々に2~3%低下します。
70歳を超えると急激に10%以上も低下し、80歳に至っては20%近くも低下してしまいます。
高齢になればなるほど加速しているのがわかりますね。
このようなことから「重たい荷物が持てない・・」「階段がつらい・・」「どうも若い頃のようにはカラダが動かん・・・」などとカラダの不具合を感じるようになります。
筋肉の老化によって四肢(両手、両足)が動かしにくくなって、やがてはカラダ全体の老化へとつながっていきます。
しかし1990年代に行われたテストによって、高齢期であっても適度な筋トレをおこなえば筋力が向上し、その上安全性も高いことから高齢者こそ筋トレを行うべきだと考えられるようになりました。
2016年にアメリカで行われた研究では60歳前後の男女に筋力トレーニングを行わせたところ、10週間で平均7~8%もの筋肉量の増加が確認されたそうです。
たとえ成長期を過ぎていても、還暦を迎えていても、トレーニングをすれば筋肉が増えるので、年齢を理由にあきらめる必要は全くありません。
以下に高齢者こそ筋トレをすべき理由を紹介しておきます。
ぜひ、最後まで読んでいただき参考にしてもらえるとうれしいです。
目次
高齢者こそ筋トレをすべき理由①
◯新しい経験を積んでどんどん頭を使う
ヒトは年をとると知的な能力はおとろえて、運動機能も低下してしまいます。
物忘れが多くなったり、階段を上がったり下がったりするのも一苦労ですよね。
中高年期から、さらに高齢期を迎えた方なら実感されていることも多いでしょう。
「うん、うん」
知的な部分でいうと、とくに数字や記号についての処理能力で一般的な知識力や理解力、また言語に対する理解力や判断力などは歳をとっても、なかなか衰えにくいものなんだそうです。
また新しい物事に出会ったときや発見した場合など、アタマの中に入力して忘れないように記憶する脳への刺激は知識力、理解力、判断力などの知的能力を向上させることもあります。
アタマは使わないと、どんどん衰え、考え方も固執しがちです。
いろんなことに好奇心を持ち続け、適度な刺激を脳に与えてあげることが大切になってきます。
高齢者こそ筋トレをすべき理由②
◯気をつけたい「老年症候群」
健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のこと で、この健康寿命と平均寿命では乖離が生じている。
つまり健康上の問題があって一人で日常生活が送れない期間が存在します。
それは「不健康な期間」ということ。
おおよそですが男性では約10年間、女性では約12年間。
健康で自立した生活を送るためには、中年期までは脳卒中や心臓病・がん・糖尿病などの病気(主に生活習慣病)の予防が大きなテーマになります。
しかし高齢期になるとこうした病気の予防のほかに「老年症候群」と呼ばれる病気とは言いがたい、不健康な状態にならないように予防するのも大切です。
老年症候群とは加齢により日常生活に不具合が生じる状態です。
老衰(虚弱)・転倒・認知症・低栄養・生活機能低下・閉じこもり・うつ、など。
「介護が必要になった原因」を見ると
「1位 認知症」
「3位 衰弱」
「4位 骨折、転倒」
「5位 関節疾患」と日常生活に不具合が生じる状態によって多くの高齢者が要介護や寝たきり状態になっていることがわかります。
◯老年症候群の負の連鎖を断ち切る
老年症候群の傾向が現れてくると
・体の不具合から運動不足になる
・身体活動が減少して不安になる
・自己効力感(自分の体は自分で何とかできるという自信)が低下する
このようなことから、家事や外出などの身体活動が減って、いっそう老年症候群が進行してしまうという悪循環に陥ってしまいます。
老年症候群の予防、或いは老年症候群になってしまった場合に進行させないようにするには、十分な身体活動ができるように普段から筋力を向上させておくべきです。
高齢者こそ筋トレをすべき理由③
◯転倒後症候群によって要介護状態
視力障害の方を除けば、高齢者の転倒は加齢によるものや運動不足で筋肉や骨が弱くなっていたり、器官の働きが衰えたことが原因で起こるのです。
この転倒したことによる骨折が寝たきりの原因になるのは、一度、転倒を経験すると転倒への恐怖心から、消極的になってしまい閉じこもりがちになることです。
もうすでに骨折は治っているのに外出を控えたり、部屋から出るのを控えたり、そしてベッドを中心にした生活になってしまう高齢者がたくさんいます。
転倒が怖くなり生活のレベルはどんどん下がっていく「転倒後症候群」という現象に陥ってしまいます。
じつは一度、転倒を経験した人は引きこもりになる傾向にあるのですが、一年以内に56.6%の人が再転倒するというデータもあるんです。
一般的な転倒率は10~28%ぐらいですから、数倍も転びやすくなってしまいます。
これは不活発な生活により身体機能が弱体化し、さらに転倒しやすくなる悪循環に陥ったことによるものです。
高齢者こそ筋トレをすべき理由④
◯QOL(生活の質)の向上が期待できる
自分自身をセルフマネイジメントできる感覚(自己効力感)が心身の不必要な老化を食い止めます。
これは高齢期を前向きにとらえる効果があります。
さらに筋トレやウォーキングを日常生活に取り入れ習慣化することで生活リズムが整い、快食、快眠、快便といった健康に欠かすことのできない三大要素が改善されるのです。
細かいことへの怒りやこだわりは高齢期を迎えると、よく見受けられる傾向です。
しかし、すべての人がその様になるわけではなく、社会的に詐害されたような状態で起こりやすくなるようです。
運動を始めると外出する機会が増え、近隣の方とのあいさつやトレーニング仲間との交流が滞りがちな高齢期の心を解きほぐしてくれます。
運動をするとお腹が減るのは、カラダの血糖が低下していることを示すサインです。
そして食事をとることによって空腹感がなくなります。
この間に血糖コントロールのための内分泌メカニズムが活性化されています。
日常的に空腹をあまり感じない人は、自律神経がうまく働かず内分泌メカニズムの発動がされない状態といえるでしょう。
カラダの自律神経の調整にも筋トレがとっても役立っているんです。
一方で、老化による衰弱などで生活に制限がある高齢者の場合は、適度な運動により転倒しにくくなります。
外出したり第三者との交流もできるようになりQOL(生活の質)の向上も期待できます。
まとめ
新しい経験を積んで適度な刺激を脳に与えてあげることが大切
「老年症候群」「転倒後症候群」にならないように普段から筋力を向上させておくべき
運動を始めると外出したり自律神経が整いQOL(生活の質)の向上も期待できる
今日が人生で一番若い日である。何事を始めるにも遅すぎるということは無い